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『チルドレン』 [伊坂幸太郎]

『チルドレン』/伊坂幸太郎
講談社


チルドレン


陣内はB型に違いない。

得意の連作短編です。かなり慣れました。違和感もなくなってまいりました。

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こういう奇跡もあるんじゃないか?
まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。信じること、優しいこと、怒ること。
それが報いられた瞬間の輝き。ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。
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「それだ。 俺たちは奇跡を起こすんだよ」

家庭裁判所の調査官である陣内を中心に、その同僚(後輩)の武藤とのやりとりを中心に、
大学時代の友人の鴨居、そして盲目の永瀬とその恋人とのエピソードが絡み合う。

思うに。

この陣内、というのは伊坂氏の考えるヒーロー像なのではないか。
『陽気なギャング・・・』の講釈たれや、『オーデュポン・・』の桜など、
シニカルでクール、かつ、人と少しズレてて自分のルールに人を巻き込む。
いろいろ形態は違えど、一般人が呆れかえるような「自分の世界観」を
持ったキャラクターであるのは間違いない。

魅力的で特異なキャラクターと言えば、名医:伊良部先生を思い出すのだが、
彼と決定的に違うのは、「滑稽さ」を感じさせないところだろう。

たとえば、盲目の永瀬が、通りすがりの女性に5,000円をもらう
場面がある。永瀬は願わずも施しをうけた格好になったわけであるが、
陣内はその事について腹をたてる。
“なんでお前がもらえて俺が貰えないんだよ、そんなの不公平じゃないか”
というのである。

これを読んで、「滑稽なユーモア」は感じない。
伊良部先生なら
「そんなのずるいよ。永瀬くんだけ不公平じゃないか。
ぼくも明日から盲導犬を連れて歩くことにする」
と、いうに違いない。
(あぁ、、、ホントに伊良部ならこう言うだろうって気がしてきた・・・)

こんな陣内がなぜ家裁の調査官なんて仕事をしているんだろうって
ところも深い。いや、深いんだけど浅い。
何を書いてるのかわからなくなってきました(笑)
“本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだ”という有名な
台詞のそのままに、深刻な人物背景をさらりと書く。
さらりと、しかもしっかりと。

最後の短編でそのパズルがひとつ解ける。
それは、解けなかったところで、たいして気にもならない。
それまでに不可解な陣内像をさんざん見せられてるからなのだが、
ピースがハマった瞬間、胸のつっかえが降りる。
それまで、そのピースがつっかえてた事に気がつかなかっただけなのだ。

「申し訳なさそうにしているのが芸風」と雑誌で自分の事を評した伊坂氏
だが、読み手のボクらも、そんな風にやわらかいもので包まれた
熱いものが好きなのかもしれない。


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